気まま主婦の海外ドラマまとめ

暇さえあれば海外ドラマを見漁る日々。せっかくなので個人的な感想や思いのたけをこの場に記していこうと思います。

気まま主婦のネタばれレビュー【ブラックミラー 1500万メリット S1#2】(BLACK MIRROR Fifteen Million Merits)

ブラックミラー シーズン1 第2話は

1500万メリット

 

第2話はTHE ブラックミラー な近未来的な

背景の物語になります。

 

こちらの主演俳優ダニエル・カルーヤ

は全米でも話題となった映画〘ゲットアウト〙の主演俳優さんです。

ゲットアウトは

黒人と白人の根深い差別社会を物語の中に無数にちりばめられた伏線とともに

痛烈に表現している映画です。不気味さがはらはらするめちゃくちゃ面白い作品で

大量の伏線を回収したいがために何回もみてしまう病みつき映画です。

 

さて、そんな1500万メリット

舞台は主人公ビングが寝起きしている液晶画面に囲まれた近未来的な無機質な

部屋からはじまります。

朝日が昇るアニメーションとともに部屋が明るくなり起床するビング

歯を磨くのは液晶画面にタッチし手をこまねくと歯磨き粉が自動で出る

と同時に支払う”メリット”

音楽を聴くのも壁の液晶をタッチ

途中で強制的にかかる爆音のCMは”メリット”支払い終了

 

同じ服を着て、部屋と同じ無機質なエレベーターにのり

向かうのはサイクルマシーンのあるジムのような場所

主人公をはじめその場にいる人間は全員ひたすらこぎ続ける

”メリット”を支払い見たいTV番組を見ながらひたすらこぐ

 

昼食は”メリット”で支払い自動販売機から購入

 

どうやら主人公の生きるこの世界はメリットを支払い自転車をこぐことでメリットをためるそんな世界。

主人公はそんな日々のなか無気力に暮らしている。

 

そんなある日主人公はある女性に出会う。

彼女はアビ

トイレで彼女の素晴らしい歌声を聞いたビングはその歌声に魅了される

彼の中で何かが変わった。

無機質な世界で無気力に生きていた彼は彼女と話すきっかけを

作り距離を縮めていく

そして彼女にある提案をする

“ホットショット”への出演だ。

 

ホットショットはオーディション番組の勝者は

メリットを貯める労働の生活から解放され成功を約束される

しかし出場には1200万という莫大なメリットが必要となる。

アビにはそんな大金はなくビングの提案を鼻で笑うが

ビングには死んだ兄から受け取った莫大なメリットがあった

 

作られた世界で作られた”偽物”に囲まれ

生きる喜びも感じず無気力に生きていたビングにとって

彼女の歌は初めての”本物”だった

 

そしてオーディション番組に出演することになったアビ

出演直前に飲み物を飲むように手渡されたアビ、それを受け取り

ステージ袖で見守るビング

 

彼女の美声は観客、審査員を魅了した。

だがしかし・・・

 

〘※以下ネタバレ含む〙

審査員は彼女に歌手ではなくアダルト番組への出演をオファーしたのだ

直前に飲まされた飲み物と大観衆の前で判断能力が低下している

アビはそのオファーを承諾してしまう

必死で止めようとするビングも退場させられてしまう

 

そして彼女はアダルト番組に出演するようになった。

部屋で毎日のように流れるアビが出演するアダルト番組のCM

強制終了するメリットさえも残っていないビング

ビングの心は徐々に壊れていく

 

ある日、彼は大きな決断をする。

 

早朝、朝一番に自転車をこぎ続け

歯磨き粉は最低容量だけを使い

食べ物は他人の食べ残しをむさぼり

爆音のアダルトCMを強制終了することもやめ

ただひたすら自転車をこぎ続ける。

ただひたすらメリットをためる

 

そして暇があれば自室でダンスの練習をする

 

そう、1500万メリット(アビの時より値上がりしていた)

をためてホットショットに出演するためだ

 

そんな日々の苦労が叶い1500万メリットをためたビング

念願の出演を果たし

アビが飲んで意識を朦朧とさせたあの飲み物は

アビからあの日受け取った空箱で飲まずにすりぬけた

 

そうしてガラスのかけらを自らの喉にあて

自らの思いを吐き出す

 

お前ら審査員は俺たちを生きた人間ではなくただの消耗品としてみている

お前たちが与えるものも俺たちが受け取るのも偽物だけ

本物だと思えるものは人を蔑むことだけ

自己表現することも美しい本物を見ることもかなわない

すべて偽物

そんな中で唯一見つけた”本物”を俺から奪った

このくそ野郎

 

口を開いた審査員が発した言葉は

 

称賛の言葉

 

この世界は確かに本物に飢えている

僕の番組に出演しないか

 

いいコンセプトだ

 

そして主人公は労働の世界から抜け出し

あのガラスの破片を喉に突き刺しながらジョーク交じりに

語り掛ける番組をもつ

 

豪華な部屋で広い窓から見える大森林、鳥のはばたき

を眺めるのだった。

 

〘考察 気まま主婦の勝手な感想〙

ビングのホットショットでの訴えは正にメリットを貯めるこの世界の話ではなく

現在の世界に生きる私たちなのではないか。

人間が作った物、作られた情報、人間が作った社会の中で動かされる私たち

日々の楽しみはそんな作られた社会の中でお金を稼ぎ、ほしいものを買い

自らの欲求を満たすこと。

人を蔑むこと、ねたむこと、もしくは無関心でいること

そんなことだけが唯一リアルに人間くささを出せる場であり

本当の人間の美しさ、温かさ、そういうものを出せているだろうか

自然の美しさ、この世界の美しさ、そういうものを感じれているだろうか

偽物の中で必死にもがくことだけが生きがいになっていないだろうか

そんなことを感じました。

 

いいコンセプトだ。

という審査員

ビングの本物の、心からの叫びでさえこうしてまた作られたものになっていく

 

最後のビングの生活する部屋で置かれていた木製のペンギンの置物

メリットを貯める世界でビングが紙でペンギンを折ってアビにプレゼントするんだけど

その世界から抜け出し折り紙が木製のペンギンに代わっていたわけだけど

それさえも結局偽物なんだよね。

 

最後に窓の外に見える大森林。

ビングが眺める後ろ姿でエンディングとなるんだけど

彼には果たしてそれは”本物”だったのか”偽物”だったのか

答えは簡単だけど

グサっと刺さる。そんな作品でした。